2012年4月12日木曜日

三菱一号館美術館

昨日「KATAGAMI Style展」という展覧会が想像以上にいい展覧会だったと書いた。実はその展覧会を見にいったのは、展覧会自体への興味とは別にもう一つ理由があった。

と言ってもたいした理由ではないのだが、2年ほど前に新しくできた「三菱一号館美術館」をまだ訪れていなかったので、ぜひ行ってみたかったのだ(2年も前に開館しているというのに我ながらなんとも怠慢なことである)。



美術館に関しては何の予備知識も持っていなかったため、最近一気に再開発が進んだ感のある丸の内という場所柄から、どでかい高層ビルの1フロアか2フロアを使ってつくったものと勝手に想像していた。

ところが三菱一号館美術館に着いてみると、あにはからんや高層ビルが建ち並ぶ一角に低層の古風なデザインの美術館が建っているではないか。

なぜか私は明治、大正、昭和初期くらいに建てられた建築物が好きなのである。いまはやりの東京スカイツリーや汐留や六本木などの現代的な建築物を見てもちっとも興味が湧かない。国立新美術館をはじめて見たときは、なんて趣味の悪い建物だろうと軽く嫌悪感さえ感じものだ。

もちろん三菱一号館美術館は2年前に新しく建てられたものだが、明治期に建てられ原型となった建物がある。その原型とは日本政府が招聘した英国人建築家ジョサイア・コンドルによって設計され、1894(明治27)年に建てられた三菱一号館で、1968(昭和43)年に老朽化のため解体された。

その建物を40年余りの時を経て復元したのがこの三菱一号館美術館というわけだ。

内装も解体された建物の石材などを一部使用しているらしい。解体前の建物は貸し事務所として使っていたということなのでそのなごりか、小さな展示室が数多くある点も私好みである。「百聞は一見に如かず」興味のある方はぜひ一度展覧会を見に行ってみることをお勧めする。

と、かなり絶賛してしまったが、もちろん三菱一号館美術館は建物を見せるためだけにあるわけではないのでこれからもいい展覧会を企画していただければ幸いである。

三菱一号館美術館公式サイト

2012年4月11日水曜日

KATAGAMI Style — 世界が恋した日本のデザイン

ときどきこちらの期待をはるかに上回る展覧会に出会う。

今回出会ったのは、三菱一号館美術館で4月6日(金)からはじまった「KATAGAMI Style — 世界が恋した日本のデザイン」展。




わりとこういう渋め(と言っては失礼か)の展覧会が好きということもあったし、内覧会の案内FAXもいただいたのでノコノコ出かけて見た。

最初の展示室に入ると江戸時代の武士(あるいは明治時代の上流階級?)が着たであろう裃(かみしも)が数点展示されており、「おやおや、これは場違いな所へ来てしまったかな」と一瞬不安がよぎったのだが、それが早合点であることにはすぐに気づかされた。

声を大にして言うがこの展覧会は

「グラフィック・デザインやwebデザイン、その他創作に携わる人」

必見である。

もちろんその類いの仕事に何ら関係ない人でも十分に楽しめるし、お薦めであることは言うまでもない。

展覧会の主役を務めるのは布を染め込むために江戸時代に盛んに使われていた「型紙」である。

展覧会は日本では布を染めるためだけに使われていたその「型紙」が、海外の芸術家や工芸家などによってさまざまなもののデザインに見事に生かされていることがよくわかるように構成されている。

型紙自体のデザインが実に多様であることやその面白さもさることながら、その型紙デザインを実に多様なものに生かし、昇華させていった欧米各国アーティストの発想の豊かさが見どころである。

それにしても型紙をおそらく二束三文で海外へ大量流出させてしまった当時の日本の関係者は、いったい何をやっていたのだろうか。

展覧会についての詳細はこちらをご覧ください。

2012年4月6日金曜日

マウリッツハイス美術館展

改修のため2年ほど休館していた東京都美術館が4月1日にリニューアル・オープンした。

リニューアル・オープン記念として6月30日から「マウリッツハイス美術館展」が開催されるのだが、その関連イベントとして若手女優の武井咲さんが出演するCMの発表会を開くというので、新しい東京都美術館の見学がてら見にいった。

平日の午前中だというのに時期が時期なので(桜が満開&春休み)東京都美術館がある上野公園はこんな感じ。




子どもたちが春休み中なので行列ができている上野動物園の入り口近くを通って東京都美術館に到着。





中庭(?)では、何やら丸いオブジェを設置作業中。




2年間改修のために休館していたのでなんだか久しぶりという感じ。でも基本的な部分に大きな変更はなくホッとする。

そして肝心の「マウリッツハイス美術館展」のCMはというと、若手女優の武井咲さんがフェルメール作《真珠の耳飾りの少女》を演じるというもの。絵では少女が着ている服は一部しか見えていないのだが、今回17世紀オランダの時代考証を踏まえて文化服装学院が特別に制作したというのでその点も興味深いところ。

その出来映えは……。




ふむ、なるほどという感じ。衣装は絵の中の少女が着ているものの雰囲気がちゃんと出ているのでいいのではないだろうか。武井咲さんも少女役としては顔がそっくりというわけではないが、うまくはまっていると感じた。

CMの方は15秒スポットを2本流しただけなのでノーコメントとしておく。

いずれにしてもマウリッツハイス美術館はいい美術館なので、当然混雑するとは思うが今年見逃せない展覧会であることは確かである。


6月30日から開催の東京都美術館のパンフレット

9月29日から開催の神戸市立博物館のパンフレット